Classes Emit
IIFE(Immediately-Invoked Function Expression): 即時実行関数式
クラスの機能を実現するためにコンパイル後に生成されるJavaScriptは、以下のようなものかもしれません:
TypeScriptが生成するクラスは、Immediately-Invoked Function Expression(IIFE)に包まれています。IIFEの例:
クラスがIIFEに包まれている理由は、継承に関係しています。TypeScriptは、IIFEによってベースクラスを変数_super
として補足(キャプチャ)できるようにしています:
TypeScriptは、IIFEによって、簡単にベースクラス Point
を_super
変数に捕捉できるようにしており、かつ、それがクラスの本体で一貫的に使用されていることに注意してください。
__extends
__extends
クラスを継承するとTypeScriptが次のような関数を生成することに気づくでしょう:
ここで d
は派生クラス(derived class)を参照し、b
はベースクラス(base class)を参照します。この関数は次の2つのことを行います:
親クラスの静的メンバを子クラスにコピーする:
for (var p in b) if (b.hasOwnProperty(p)) d[p] = b[p];
子クラス関数のプロトタイプを準備し、必要に応じて親の
proto
のメンバを検索できるようにする。つまり、実質的にd.prototype.__proto__ = b.prototype
です。
1を理解するのに苦労する人はほとんどいませんが、2については多くの人が理解に苦しみます。そのため、順番に説明します。
d.prototype.__proto__ = b.prototype
d.prototype.__proto__ = b.prototype
これについて多くの人を教えた結果、次のような説明が最もシンプルだと分かりました。まず、__extends
のコードが、単純なd.prototype.__proto__ = b.prototype
とどうして同じなのか、そしてなぜ、この行それ自体が重要であるのかを説明します。これをすべて理解するためには、これらのことを理解する必要があります:
__proto__
prototype
new
の関数の内側のthis
に対する効果new
のprototype
と__proto__
に対する効果
JavaScriptのすべてのオブジェクトは __proto__
メンバを含んでいます。このメンバは古いブラウザではアクセスできないことがよくあります(ドキュメントでは、この魔法のプロパティを [[prototype]]
と呼ぶことがあります)。これは1つの目的を持っています:検索しているプロパティがオブジェクトに見つからない場合(例えば obj.property
)、obj.__proto__.property
を検索します。それでもまだ見つからなければ、 obj.__proto__.__proto__.property
を検索します: それが見つかるか、最後の.__proto__
自体がnull
となるまで続きます。これは、JavaScriptが_プロトタイプ継承_(prototypal inheritance)をサポートしているということです。次の例でこれを示します。chromeコンソールまたはNode.jsで実行できます:
これで、あなたは __proto__
を理解できました。もう1つの便利な事実は、JavaScriptの関数(function
)にはprototype
というプロパティがあり、そして、そのconstructor
メンバは、逆に関数を参照しているということです。これを以下に示します:
次に、呼び出された関数内のthis
に対してnew
が及ぼす影響を見てみましょう。基本的に、new
を使って呼び出された関数の内側のthis
は、関数から返される新しく生成されたオブジェクトを参照します。関数内でthis
のプロパティを変更するのは簡単です:
ここで理解しておくべきことは、関数に対するnew
の呼び出しにより、関数のprototype
が、新しく生成されたオブジェクトの__proto__
に設定されることです。次のコードを実行することによって、それを完全に理解できます:
これだけのことです。今度は__extends
の抜粋を見てください。これらの行に番号を振りました:
この関数を逆から見ると、3行目のd.prototype = new __()
は、 d.prototype = {__proto__ : __.prototype}
を意味します(prototype
と__proto__
に対するnew
の効果によるものです)。それを2行目(__.prototype = b.prototype;
)と組み合わせると、d.prototype = {__proto__ : b.prototype}
となります。
しかし、待ってください。私達は、単にd.prototype.__proto__
だけが変更され、d.prototype.constructor
は、それまで通り維持されることを望んでいました。そこで重要な意味があるのが、最初の行(function __() { this.constructor = d; }
)です。これによってd.prototype = {__proto__ : __.prototype, constructor : d}
と同じことを実現できます(これは関数の内側のthis
に対するnew
による効果のためです)。したがって元のd.prototype.constructor
を復元しているので、ここで変更されたものは、__proto__
だけです。なのでd.prototype.__proto__ = b.prototype
となります。
d.prototype.__proto__ = b.prototype
の意味
d.prototype.__proto__ = b.prototype
の意味これを行うことによって、子クラスにメンバ関数を追加しつつ、その他のメンバは基本クラスから継承することができます。次の簡単な例で説明します:
基本的にbird.fly
はbird.__proto__.fly
(new
はbird.__proto__
の参照をBird.prototype
に設定することを思い出してください)から検索され、bird.walk
(継承されたメンバ)はbird.__proto__.__proto__.walk
から検索されます(bird.__proto__ == Bird.prototype
、そして、bird.__proto__.__proto__
== Animal.prototype
です)。
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