分割代入

TypeScriptは以下の分割(Destructuring)をサポートしています(文字通り、de-structuringから来ています。つまり、構造を分解します)。

  1. オブジェクトの分割

  2. 配列の分割

分割は、構造化(structuring)の反対と考えてください。それが簡単な理解です。JavaScriptで構造を作る方法はオブジェクトリテラルです。下記に例を示します:

var foo = {
    bar: {
        bas: 123
    }
};

JavaScriptに組み込まれている素晴らしい構造化のサポートがなければ、必要に応じて新しいオブジェクトを作成することは、非常に面倒なことだったでしょう。分割(Destructuring)の機能はデータを取り出すために、同じような利便性をもたらしてくれるものです。

オブジェクトの分割

分割は1行で行うことができるので非常に便利です。それ以外の方法では複数行のコードが必要です。次の場合を考えてみましょう。

var rect = { x: 0, y: 10, width: 15, height: 20 };

// 分割代入
var {x, y, width, height} = rect;
console.log(x, y, width, height); // 0,10,15,20

rect.x = 10;
({x, y, width, height} = rect); // 外側のカッコで囲み、既存の変数に代入
console.log(x, y, width, height); // 10,10,15,20

ここでは、分解が無ければ、rectからx、y、width、heightを1つずつ取得する必要があります。

展開した変数を、新しい変数名に割り当てるには、次のようにします。

// 構造の作成
const obj = {"some property": "some value"};

// 分割
const {"some property": someProperty} = obj;
console.log(someProperty === "some value"); // true

さらに、分割を使用して構造体の深いデータを取得することもできます。次の例で示します。

var foo = { bar: { bas: 123 } };
var {bar: {bas}} = foo; // 次と同じです: `var bas = foo.bar.bas;`

オブジェクトの分割でスプレッド演算子(Restパラメータ)を使う

あるオブジェクトから任意の数の要素を取得し、残った要素をスプレッド演算子を使って取得することができます。

var {w, x, ...remaining} = {w: 1, x: 2, y: 3, z: 4};
console.log(w, x, remaining); // 1, 2, {y:3,z:4}

一般的なユースケースは、特定のプロパティを無視することです。例:

// サンプル関数
function goto(point2D: {x: number, y: number}) {
  // 余計なものが含まれたオブジェクトが渡されたら
  // 正しく動作しないようなコードを想像してください
}
// どこかから取得したPointのオブジェクト
const point3D = {x: 1, y: 2, z: 3};
/** 余計なプロパティを取り除くための、面白いスプレッド演算子の使い方 */
const { z, ...point2D } = point3D;
goto(point2D);

配列の分割

一般的なプログラミングの質問では、このようなものがあります:「3つ目の変数を使用せずに2つの変数を交換する方法は?」。TypeScriptでの解決策はこうです:

var x = 1, y = 2;
[x, y] = [y, x];
console.log(x, y); // 2,1

配列の分割は、事実上コンパイラが[0], [1], ...などとしていることに注意してください。なので、これらの値が存在することは保証されていません。

配列の分割でスプレッド演算子(Restパラメータ)を使う

配列から任意の数の要素を取得し、残りの要素を、スプレッド演算子を使って配列として取得することができます。

var [x, y, ...remaining] = [1, 2, 3, 4];
console.log(x, y, remaining); // 1, 2, [3,4]

配列の分割で一部の要素を無視する

あなたは、その場所を空のままにして、つまり代入の左側に, ,を残すだけで、特定の要素を無視することができます。例:

var [x, , ...remaining] = [1, 2, 3, 4];
console.log(x, remaining); // 1, [3,4]

生成されるJavaScript

ES5以前をターゲットにしてコンパイルして生成されるJavaScriptでは、一時変数が使われます。

var x = 1, y = 2;
[x, y] = [y, x];
console.log(x, y); // 2,1

// 下記のようになります //

var x = 1, y = 2;
_a = [y,x], x = _a[0], y = _a[1];
console.log(x, y);
var _a;

まとめ

分割(Destructuring)は、行数を減らし、開発者の意図を明確にすることで、コードの可読性と保守性を高めてくれます。配列の分割を使うことにより、配列をタプル(Tuple)のように使うことができます。

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